ソロ人狼RPG『グノーシア』感想 (真エンドクリア済み)(ネタバレややあり)
公式 http://d-mebius.com/gnosias/
IGNのわかりやすい解説・レビュー https://jp.ign.com/gnosia/36584/review/sf
事前の盛り上がりやリリース延期の紆余曲折などは全く知らなかったです。いろいろあったらしい。この時勢にVitaのDLコンテンツでリリースとのこと。でも頑張ってほしい。すっごい良かったので///
発売時の記事を見かけて(`ェ´)ピャーってなって購入し、20時間近い熱中ののち真エンド到達。Loop147。
ストーリーと構成が良い。〜コマンド選択によるゲーム進行での疑似人狼ゲームを繰り返しつつ全体の物語でのエンディングを目指すグランドデザイン〜
ストーリー全体についてはIGNのレビューにあるように、ゲームシステムとそれを支えるSFギミックがうまく融合していて、しかもとてもきれいに色んな要素を繋げて回収して終わる。これはもう褒めるしかない。
エンディングルートへの突入は見つけるのに苦しんだが、まあ納得というかなるほどねという感じ。
そして真エンドは、エンディング直後にラッキーゲット。これは震えた。「あっ」て気づいたときの衝撃はシュタゲのトゥルー到達の衝撃を超えたかもしれん。。。
【あの謎】はつまりこういうことだったのかと思うと説得力はある。メタいけどねw
イベント発生トリガーとその回収が楽しい。〜廃村イベントおもしろすぎワロタ〜
ループ開始時に配役を選んで人狼ゲームするわけですが、そのときに一定の条件を踏むと(特定のキャラと特定の役職関係になるとか)イベントが開始する。
条件を満たせそうな配役を選んでくれる機能もあるので、ここでの探索要素は薄め。
イベントは、一本道ですぐ終わるものから、特定のキャラとともに生存勝利することでイベントクリアになるものまで様々。多くの場合は、イベント対象キャラと何日か生き延びれば終わるような感じでした。
イベント内容によっては人狼ゲームどころじゃない結末になってしまうものも多く、賛否が分かれるかもしれない。LWがCOして自殺したり、LWでもないのに幕間の雑談中にCOしたり、共有がxxxxxしたうえxxxxxxxしたり。そんなん全部廃村だわ。僕は好きです。
いくつかのイベントははっきりと人狼の役職を意識しているのがあって、具体的には狼と村の組み合わせでの恋人勝利と、狐と背徳者での両生存勝利という難易度きついやつがあった。しかもこの狐、わざと一番吊られやすいキャラ選んでるだろ・・・とにかくすぐ死ぬ。しかも背徳になぜか敵意持って吊りに来る。まじつらかった。
一人用人狼ゲームとしてのグノーシア。〜人狼AIの制限と、RPGとしての人狼〜
人狼シミュレータ部分にも言及しておく。
ルール的には、いわゆる15人普通村(16A)までの、御三家+狂狼+狐が入ったゲームを遊べる。狼以外の役職は一人まで。細かいルールは固定で初日占い結果なし、連続護衛あり。同票時の処理はダブル処刑か処刑なしかを投票して選ぶ。
なぜか狐が人間カウントを持っている。
ゲームの仕様上、主人公が死んだら終了。
説明の難しい部分や設定が煩雑になりそうな要素を極力排除してあって、初心者がとっつきやすくしてある感じ。
変態配役で開始してAIが混乱する様を見るような遊び方はできません。残念。
で、自キャラ含めて全キャラが6種類のパラメータを持っていて、その数値で疑われやすさやスキルの開放が決まり、あまつさえ相手の発言が嘘だという確定直感を得たりする。
自然言語処理はなしで、占い霊能の結果と、だれかを疑うかだれかをかばうかというライン表明のみでゲームを表現している。
NPCのAIは盤面整理と投票によるライン追跡、それとキャラのパラメータとゲーム中にヘイトを上下する行動からくる好感度で構成されているっぽい。
自キャラ含めて全員がロジックのパラメータが低い序盤だと、初心者村の殴り合い以下で、確定白なのに最終日に共有に吊られたりしてVitaを窓から投げ捨てかけた。が、各キャラが(ゲームが進行するとNPCキャラのパラメータも上昇していく)成長すると、ちゃんと破綻を指摘したりされたり、盤面的に怪しい位置を疑ったりするようになる。破綻はコマンドをつかって指摘しないと気づかないキャラもいるっぽいので注意。
なにしろ発言は定型文しかないので、村による推理らしい推理は皆無なのだが、それでもちゃんと人狼してる気分にはなれるので、まあよく出来てると思う。
なお、役職の潜伏についてはシステム的には可能であるにもかかわらず推理AIが対応していない。しかも推理エンジンと進行管理エンジンが密結合しちゃってるのか、狼が占いCO1確してるのを潜伏している真占いの立場で傍観していたら、夜に占い狼が噛まれて死ぬという不具合にも遭遇した><
一応ゲーム内のFAQにも、ちゃんと対抗COを見逃してると「大変なことになる」とは書いてあるんだけど・・・うーん。
しかも、対抗を増やそうとCOを粘っていると、COが続かなかった瞬間に対抗できなくなってしまう(コマンドが消えてしまう)ので、これはちょっと勘弁してほしかったかなあ。
あまりCO順とかを推理要素につかっているように見えないので、普通にゲームする分には対抗が出たら即COするしかないですね。
しかしまあ、対抗がいるのに潜伏する占いとかを考慮すると、プログラムによる盤面整理ってすっごい難しくなっちゃうんですよね。自分もちょっと盤面整理ツール書きかけたけどそのへんの複雑さに辟易したことがあるので、わかるんですよ。わかります。
潜伏役職が生存している想定の場合、ぶっちゃけ何も決められない。常に全員に全役職の想定が残るような感じになってしまうんだけど、これを人間がどうやって処理しているかというと、雰囲気で真占いは潜伏していないって仮定を置いているんですね。で、AIにこの「雰囲気」ってのを教えるのはなかなか難しいので、まあ仕方ないのかなあと。狩りCOが無いのも多分同様の理由かな?俺たちは雰囲気で人狼してる。
で、そんな制限の多いAIと、機械的に設定されたカリスマとか直感とかのパラメーターで戦うわけだが、これが不思議と楽しかった。何故か。
理由は、RPG的な要素だ。NPCも成長するというところも大きい。
ゲーム開始直後の、全員のパラメーターが低い状態って、まじで初心者村そのものという感じなんですよ。
「あの人が一人で喋ってばかりいるから怪しい。吊ろう」みたいな、大昔にみた初心者村のような光景がちゃんと再現されてて、本人はもちろん理不尽な気持ちになったりもする。
で、そこからパラメーターが上がってくにつれて「ちゃんとした」人狼ゲームに近くなっていく。占い結果から破綻を見破ったり、噛み筋とラインをもとに殴ったり。
敵AIの個性もわかってくるので、人物考察によるメタ推理も捗るようになってくる。
初めの方はパラメータで疑われやすかったりするのどうなのって疑問に思ってたけど、敵も味方も成長することで人狼ゲームがじわじわと高度になっていく様子を表現できていて、なるほどなあと思いました。
ちょうど先週から、作業用BGM代わりに人狼最大トーナメントの動画を最初から順番に流してたんだけど、あのレギュラーメンバーが成長し強くなっていく楽しみ、それと同じ感覚をちゃんとグノーシアのNPCたちから感じ取る事ができた。
そういう意味で、一回一回のゲームだけではなく、人狼プレーヤーとしての成長を楽しめる。キャラの成長が、たんなる派手なエフェクトや数字の変化だけではなく、ちゃんと人狼ゲームの内容に反映されて実感できるという点で、しっかりRPGしてる。下手なRPGよりよっぽどしっかり成長を実感できるという。
コマンド選択とパラメータでの殴り合いという、人狼ゲームシミュレーターとしてはかなり厳しい制限を抱えながら、それらの制限を、逆にRPGとして活かしてしまったというのが、グノーシアというゲームなんだと思います。